入門歴史総合Q&A100
Q01 世界史を地球史のなかでどう位置づけるか? 視点① 人新世
Q2 なぜユーラシア大陸で文明が発達し、南北アメリカ大陸で発達しなかったか? 視点②ウイルス
入門歴史総合 Q&A100 紹介文
慶應義塾大学環境情報学部二年
本書は、2022年より高校の必履修科目として導入された「歴史総合」における現代からパクス・モンゴリカまでの重要なトピックを100の問いとしてピックアップし、その回答を論述する形で描かれている。また、本書は「結果」から「原因」を探る「逆さ世界史」の順に書かれており、歴史的脈絡のより明確な理解を促す形になっている。
近年では新型コロナウイルスの蔓延やロシアのウクライナ侵攻など、受験生のみならず歴史における知識やその理解の需要が高まっている。しかし、史実だけでなく、その理由や背景知識などを網羅し解説している物は少ない。本書は歴史を3G(「God」金・「Gewalt」暴力・「God」心の拠り所)という視点から「結果」を開設しており、複合的な知識の獲得が期待できるだけでなく、それらを約1000文字前後に細分化し、過去800年の全体を理解するだけでなく、自らが気になっている箇所を部分的に抽出して理解することも可能にしている。
本書が上記の様に他の歴史書と異なった形で書かれているのは、著者が京都大学の教員である坂出健先生であり、この本は京都大学の授業を基盤にして書かれているからであるからと言える。また、本書を読みながら、坂出先生がGoogle Classroomにて実施している「(Google Classroomのタイトル)」にて、京都大学で実際に行われた講義を視聴し、Google Classroom上の問題に回答することによって、自身の歴史の知見を深めるだけでなく、テスト形式による理解度の把握や自身の知見を試すことが可能である。また受験生であれば各章の最後には、その章に関連する国立大学の論述問題が記載されており、章の内容における重要なポイントなどを再認識するだけでなく大学受験対策としても活用できる。
上記した近年の特殊な事情だけでなく、常にグローバル化して行く社会において世界史の知識の需要は高まっていると言える。また、社会人においては史実やそれを記憶するより、背景を知る事がその知見の実用性に直結すると言える。本書は国際社会で生き抜いてかなくてはいけない社会人やこれからの学生にとって正しく、実用的な歴史的な知識と思考力を身に付ける上で最も適している書物の一つではないかと考える。特に本書は中立性にこだわりを持ち、例えばアメリカと中国の対立関係においても、それぞれの政治や経済を歴史的な背景から論理的に説明されており、善悪ではなく、実態、現状と今後の進展などを詳しく解説している。また詳細に書かれているが故に難易度の高い専門用語や歴史用語が使用されているが、各章毎に用語集がまとめられており、難易度の高い内容を誰もが理解できる工夫がある。
国立大学受験を考えている受験生は無論、大学受験時に世界史を選択していなかった社会人にとっても、世界史の知見を深めたいと考える社会人にも、世界史を学びたいと考える広い層にとって大変意義のある本であり、「現代」を理解するにあたって大きな助けとなる。
以上が本書を勧めたい理由である。
公共政策大学院2 回
本書は、2022 年4 月より高等学校にて導入された新たな科目である「歴史総合」について、近現代史にまつわる重要な論点をフォローしながら、米中覇権衝突からパクス・モンゴリカまでの800 年に渡る世界史を現代から概観する、「逆さ世界史」として描かれている。各項目では、「なぜ〇〇なのか」という問いを主軸にして、その問いに簡潔に答え、歴史総合の教科書よりもう一段踏み込んで考えさせるスタイルを採っている。例えば、ここ数年話題に上がり続けている中国の台頭といった問題については、「新興専制国家群(デジタル・ガーシェンクロン・モデル)」からみたサイバー空間における新たな秩序を提起しているが、通常の歴史総合の教科書ではここまで踏み込んだ記述はなかなかない。これは、著者である坂出先生が高大連携を意識した京都大学での授業を基に作成されたからである。大学教員が著者であることによるオリジナリティであるとも言える。本書の読者、特に大学受験を控えた受験生に国際社会について考えるきっかけになることは間違いない。勿論、国際関係や国際経済の歴史に関心を有する社会人が手に取ることにより、日々のニュースをより深く理解する上で有用であることは論を待たない。
Chapter 毎に、「用語と演習問題」が設置されており、Google クラスルームにて巻末問題に関する知識を入れながら、自ら作成した答案を再検討することができる。大学入試を控えた受験生は、各Q の内容を100 字程度で答案化し、受験対策として暗記しておくことにより、難関大学(東大、京大、一橋etc)の二次試験での論述対策として使用できる。難関大学志望の受験生には、教科書の副読本として利用することも考えられる。近現代史の主な流れを高等学校での歴史総合の授業及び教科書で学んだ後に、本書で更に一歩深く理解することにより、受験生の歴史総合の答案の質は向上する。この学習は、特に大学で法学部、経済学部に進学希望の受験生にとって、入学後の学びにおいても役に立つ。無論、難関大学を目指す受験生以外でも、歴史総合への理解を深められる上で有用であることは言うまでもない。
社会人においても、近年リカレント教育が注目を浴びており、高等学校で学んだ科目を一般教養として理解する動きが加速化している。本書は米中覇権衝突からパクス・モンゴリカの800 年の世界史を扱っているため、グローバル化が進展し、各国の歴史的背景を踏まえながらビジネス展開をしていく今日では、一般教養の習得として有用である。その点、本書は、国際関係・国際経済の歴史を振り返ることにより、歴史的背景を身に着けるには格好のテキストである。普段の業務で忙しいビジネスパーソンには、各種SNS にて著者が解説動画をアップロードしている。日々の通勤時間や隙間時間でショートムービーをチェックし、歴史への理解を深めていくことができる。ビジネスパーソンが歴史を学ぶことは従来より注目されているが、本書は動画だけでなく、選択・記述問題も用意されており、単なる読み物として完結せずに、アウトプットによるインプットの質も確認できることが特徴的である。
以上のことより、本書は受験生が使用する学習参考書としての性質を有しているものの、その使用は受験生に留まらず、社会人にも役立つと言える。本書の用語で不明瞭なことがあれば、高等学校の世界史・日本史・倫理・政治・経済の教科書や、大学で使用する国際政治や国際経済の入門テキストを手に取り、本書の空白部分に補足説明を付け足していけば、オリジナリティ溢れる歴史総合テキストにもなる。本書により歴史総合の理解が深まり、国際社会を俯瞰的に見つめる視点が養われる。これが本書を薦める理由である。
経済学研究科2年
本書は、世界史・日本史を100 の問いにまとめ、現代から過去に遡って読む道筋を通じて、現代の 国際情勢・政治問題の歴史的脈絡を理解しやすいように構成した、「逆さ世界史」である 。
本書で取り上げられたトピックはヨーロッパにおける資本主義の台頭 、モンゴルのユーラシア支配の解体から、現代米中対立まで、800 年に渡る世界(欧米・アジア)と日本における諸課題になる。各トピックには、簡明な言葉を用いて概念を説明し、現在の社会情勢を絡んで歴史の流れを描いた。各Chapterの最後に、「用語と演習問題」が設置され、各名門大学(一橋・東大等)の二次試験で使われた歴史問題が含まれ、大学受験生である読者は本書を理解し、演習問題をクリアすることで、「歴史総合」の受験対策になるだけではなく、教科書で教わらない歴史も学べる。受験生以外の読者も、本書を通じて、世界歴史の全体像を掴め、「世界中の日本」の視点を身に着け、現代政治に対する理解を深めることができる。本書の著者、坂出先生は京都大学の教員であり、京都大学において「国際政治経済分析」、「欧米経済史」等講義及びセミナーを開講している。本書は、坂出先生の国際関係・国際政治に関する講義においても使われる予定があるため、京都大学の学生が読む歴史教科書である。世界歴史・国際政治に関心を持つ方々、また、京都大学で教わる歴史講義に関心を持つ方々に、ぜひ本書をお勧めする。
近年、新型コロナウィルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻等諸問題が発生し、世界政局不安の芽が出始まった。さらに、各国においてインフレが進み、物価高騰と失業率の上昇等社会問題が一層深刻化になってきた。景気後退と政治不安の中で、国際情勢の先行きがますます不透明になる。このようなご時世の中で、様々な社会問題の歴史的由来を理解し、自分なりの思考で国際情勢を分析する能力が重要になってきた。本書では 、800 年の世界史に留まらず、 昨今において私たちの生活に確実に影響を与えるトピックも取り上げた。 例えば、世界中で注目されている米中新冷戦について、筆者は 2000年から2020年までの米中関係の構図を簡明に解釈し、911 同時多発テロなど諸事件がどのように米中関係に影響を与えるかを踏まえ、デジタル時代における覇権をめぐる新たな冷戦形式を提起した。さらに、馬伯庸の『沈黙都市』という情報管理社会ディストピアを描いたストーリーを絡み、デジタルの進展に伴う自由の喪失懸念を指摘し、読者の批判的思考を促した。本書を通じて、米中新冷戦など現代 課題の 経緯を辿り、長い年月に渡る 出来事を一気通貫で学べる。そのため、歴史的教養を高め、世界政治に対する知見を養うことができる 。
以上より、本書は「歴史総合」の受験対策に留まらず、教科書では取り扱わない内容を含み、 世界史の流れを掴めることで現代の政治情勢を理解しやすいように作成された。大学受験生 にお勧めするのと同時に、歴史を遡って「現在」を理解したい方、 京都大学で教わる歴史の内容に関心を持つ方、国際政治の全体像を掴めたい方も 、ぜひご一読ください 。
入門歴史総合Q&A 紹介文(ドラフト・未完)
公共政策大学院二回生 MK
・国立大学の論述試験対策のヒントを得たい人
・歴史(特に経済史、経済政策)などに興味のある全ての人
・歴史の知識から現代的な課題解決方法を模索したいと考える人・・・へ
・本書を読むことで、鍵となる視点を持って歴史の知識を整理することができる
<3つのGに着眼(歴史を考える上で、鍵となる3つのG・表による整理) 視点の獲得>
(1)問題意識を与えてくれる
(2)歴史への興味が深まる
(3)記憶が定着
・「問い」「結果(逆さ)」から出発するため、問題意識を持ちながら歴史を読み解くことができる。(さらに、現代的な問題の答えも同時に探ることができる)
・特に経済史や第二次世界大戦などの戦史に関する記述が厚い
(各種経済政策に関する記述が厚い(プラザ合意、金本位制策、銀を巡る**など)
(分野はある程度絞られている)
・最初に…「歴史の終焉」フランシスフクヤマや「文明の衝突」ハチントン等の言及が冒頭にはあり、民主主義とは何かについて考えさせられる。(「世界史の中で民主主義をどうみるか」)
・「第二次世界大戦はなぜ起こったのか」「封建制度→資本主義(英) 封建制度→絶対王政(仏)」等々、重要問題について、分析的に歴史を読むことができる。